屋根が劣化すると現れる4つの症状とは?
劣化が進むにつれて、屋根には様々な症状が現れ始めます。
時間が経つにつれてどんどん状況は悪化し、放置すればするほど重症となります。
以下で紹介する症状に気づいたら、できるだけ早めに適切なメンテナンスを行うことが重要となるので、各症状の詳しい内容を見ていきましょう。
屋根材の色褪せ・剥がれ
屋根材の色褪せや屋根材に塗装されている塗膜の剥がれは、屋根の劣化の初期段階です。
年月が経つにつれて、屋根は紫外線や雨水によって時間をかけて浸食され、塗装がだんだん剥げて色が褪せてきます。
今すぐ何か大きなトラブルが発生するという訳ではありませんが、そのまま放置すると屋根の劣化を早めることになってしまうので注意が必要です。
色褪せた屋根、つまり塗膜が薄くなっている屋根は、紫外線・雨水が直接屋根材に当たるため腐食しやすくなります。
屋根の色褪せを発見したら、なるべく早い内に屋根塗装を検討するのがおすすめです。
屋根材の色褪せ・剥がれを放置すると、次項のような劣化症状が現れ始めます。
コケ・カビ・藻の繁殖
前項でもお伝えしたように、屋根材には出荷時に塗装が施されています。
この塗装には防水効果も含まれており、塗膜が薄くなってくると防水効果も薄まるため、コケ・カビ・藻が繁殖し始めます。
コケ・カビ・藻は常に水分があるところに発生するものであり、屋根材が必要以上に水分を吸収してしまっている証拠です。
コケ・カビは一般的に緑色というイメージがありますが、茶色や黒い斑点もカビの一種なので見過ごさないよう注意が必要です。
コケ・カビ・藻の繁殖は防水性能が低下している証拠であり、繁殖したまま放置すると水はけが悪くなり、さらに屋根に負荷がかかります。
防水性能の復元を目的とせず、美観回復だけを目的とする場合は高圧洗浄で簡単に取り除くことができます。
屋根塗装を行わないと防水性能は元に戻りませんが、美観が気になる方は高圧洗浄だけ専門業者に依頼してみても良いでしょう。
屋根材にヒビ割れ・欠けの発生
防水性能が失われたままの状態で放置すると、屋根材にヒビ割れ・欠けが発生します。
築年数が10年以上経過している屋根には、複数の箇所にヒビが入っていても不思議ではありません。
屋根材にヒビ割れや欠けが発生すると、隙間から雨水が侵入し、住宅内部の腐食や雨漏りの原因になります。
雨水の浸水は、屋根以外の部分にも被害が及ぶ可能性があるため、できるだけ早めに対処したい劣化症状です。
また、上記は経年劣化が進んだ屋根の場合ですが、新築から間もない新しい屋根であっても雨水の水分を吸収したり昼夜の寒暖差によってヒビが入ることがあります。
そのため、梅雨明けの頃に一度点検することをおすすめします。
ヒビ割れや欠けが部分的な場合は該当箇所の補修だけで済みますが、複数の箇所でヒビ割れ・欠けが発生している場合は屋根全体が寿命を迎えている可能性があります。
部分的な補修に留まらず、本格的なリフォームを検討することをおすすめします。
そのまま放置すると、屋根材が剥がれて飛散するなど周辺にも影響が及ぶことがあるため注意してください。
屋根材の隙間が拡がる・ずれる
屋根材同士の隙間が拡がってしまっていると、屋根は末期の状態になっていると考えて良いでしょう。
屋根材が変形して元に戻らなくなってしまい、隙間ができたりズレたりしている訳ですね。
ここまで状態が悪化してしまうと、雨水が隙間から入り込んでしまうので屋根材の交換が必要です。
ただし、わずかな隙間を素人が見つけるのは難しいですし、ヒビ割れや欠けが見当たらないからといって、問題がないと安心している方も多くいらっしゃいます。
屋根材が変形してしまい隙間やズレが発生している状態では、少しの風でも屋根材が煽られてカタカタと音を鳴らして動くことがあります。
屋根から聞き慣れない異音がする場合は、屋根材に隙間やズレが発生していると疑うようにしましょう。
屋根材ごとの適切なメンテナンス方法とは?
ここまで解説してきたように、大切なマイホームで長く快適に暮らしていくためには、屋根の劣化を見逃さず定期的にメンテナンスを行うのが重要となります。
それでは、主要な各屋根材ごとにどういったメンテナンスが必要になるのかを詳しく見ていきましょう。
屋根材ごとの特徴や価格相場についてはこちらの記事でまとめていますので、併せてぜひご覧ください。
代表的な5つの屋根材について徹底解説!屋根修理の成功は屋根材選びから
スレート
スレート系の屋根は、基本的には再塗装によるメンテナンスが必要となります。
屋根塗装を行うことで、美観が回復するだけでなく耐久性や防水性を元の状態に戻すことができます。
ただし、屋根塗装でメンテナンスできるのはスレートの劣化がそこまで進行していない状況に限られます。
塗装では修繕できないヒビ割れや欠け、変形などが多数起こっている場合には、カバー工法によるリフォームが必要です。
カバー工法は既存の屋根の上に新しい防水シートと屋根材を被せる(カバーする)工法です。
既存の屋根を撤去する必要がないため、屋根リフォームとしては比較的安価に行うことができます。
屋根がスレートの場合、業者からリフォームの提案があった際は基本的にはカバー工法のことを提案されていると思って良いでしょう。
瓦
瓦屋根のメンテナンスでは、瓦をつなぎ留める漆喰の補修を行います。
漆喰は数年で劣化するため、定期的な塗り直しが必要となります。
瓦は耐用年数が50年以上と寿命が長いため、特に破損がない限りは瓦自体にはメンテナンスは必要ありません。
しかし、瓦の下に敷いてある防水シート(築年数が古い建物であれば葺き土)はメンテナンスフリーではありません。
いくら瓦に問題が無くても、防水シートや屋根下地に劣化や腐食が起これば雨漏りの原因ともなりかねません。
この場合は屋根葺き替え工事、あるいは瓦屋根であれば葺き替え工事より費用を抑えることができる屋根葺き直し工事を行うこととなります
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、メンテナンスとして洗浄とシーリングの補修を行います。
通常、ガルバリウム鋼板はメンテナンスが不要と言われていますが、付着した汚れを防ぐことはできません。
美観を維持するためには、洗浄や場合によっては再塗装が必要です。
また、ガルバリウム鋼板自体の寿命は長いですが、隙間を埋めるシーリング材はおよそ10年程度で劣化が始まります。
劣化を放置すると屋根に隙間が生じる可能性があるため、定期的に補修する必要があります。
ガルバリウム鋼板はメンテナンスが不要と言われるも多いですが、何もせずに放置しても良いという訳では決してないので誤解しないようにしましょう。
屋根板金(棟板金・谷樋板金・水切り板金)の劣化にも注意!
板金は雨水が屋根内部に侵入するのを防ぎ、雨水を適切に排水するために欠かせない屋根部材です。
屋根の頂点にある「棟板金」、屋根の谷部分の「谷樋板金」、屋根と外壁の隙間に設置される「水切り板金」と、スレートや金属系の屋根には板金が多数使用されています。
しかし同時に、板金は板金浮き、あるいは固定している釘浮きが起こりやすい部材でもあります。
特に、棟板金は築5年以上経過すると釘などの留め具が抜けやすくなり、留め具が抜けると雨水が侵入して内部を腐食させます。
自宅の周囲で古い留め具が落ちているのを見つけた場合は、それが自宅の棟板金のものである可能性を疑い、屋根点検を実施するのがおすすめです。
棟板金の浮き・釘浮きが起こる原因と対処方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
屋根の棟板金に浮き・釘浮きが起こる原因と対処方法を徹底解説
屋根の劣化サインとなる4つの症状とは?まとめ
屋根の劣化に気づいて点検を行う場合、専門の屋根修理業者に依頼することをおすすめします。
中には「自分で点検すれば費用がかからないから〜」とお考えの方も多くいらっしゃいますが、どれほど平坦な屋根でも足を滑らせて転落する可能性があるため、素人が屋根に上ることは危険です。
最近では多くの屋根修理業者が現地調査・見積もり作成までは無料で対応してくれます。
屋根の点検はご自身では決して行わず、必ず専門業者に依頼するようにしましょう。