棟板金の浮きが起こる主な3つの原因とは?
棟とは屋根の最も高い位置を指し、その棟を守るために取り付けられているのが棟板金です。
そして、棟板金の浮きはその名前が示す通り、屋根と棟板金の間に隙間が生じて板金が浮く現象です。
棟板金の浮きが起こる原因として、主に以下の3つの原因が挙げられます。
・釘の熱膨張(経年劣化)
・強風による釘の抜け
・強風による棟板金の変形
釘の熱膨張(経年劣化)
釘の熱膨張は、金属製の釘が温度の変動によって膨張と収縮を繰り返す現象です。
経年とともに、釘が膨張と収縮を繰り返すことで釘穴が拡大し、釘が緩んでくるのです。
釘に対して釘穴が大きくなってしまえば、容易に抜けてしまうのは想像しやすいかと思います。
こうして、しっかり固定されなくなった棟板金が浮き上がってしまうのです。
強風による釘の抜け
棟板金は屋根の頂部に位置するため、風の影響を直接受けやすくなっています。
そのため、屋根と棟板金のわずかな隙間に強風が入り込み、釘の固定が甘くなった棟板金をめくり上がらせてしまうのです。
特に台風が上陸した際には棟板金の浮きが起こりやすいので、台風が通過した後には浮きが起こっていないか確認するようにしましょう。
強風による棟板金の変形
台風や竜巻などの極端な気象条件下では、棟板金自体が変形する可能性もあります。
新品の棟板金は釘がしっかりと固定されており、それ自体は非常に良いことです。
しかし、本来であれば釘が抜けることで風の力が拡散されるところ、釘が抜けないことで板金自体に力がかかってしまい、板金自体を変形させてしまうのです。
棟板金の浮きを放置すると起こり得る被害とは?
棟板金の浮きは、その名前が示す通り屋根と棟板金の間に隙間が生じて板金が浮く現象です。
ただ、これだけ聞いても住まいにどういった影響があるのかはあまり伝わらないかもしれません。
しかし、屋根を適正な状態に保つためには決して放置してはいけない劣化症状であり、もし長期間放置してしまえば建物にとって深刻なダメージをもたらす恐れがあります。
棟板金が浮いた状態だと、屋根と板金の隙間から雨水が侵入してきます。
棟には下地となる貫板(ぬきいた)が入っていますが、雨水によってまずこの貫板の腐食が起こります。
そして、貫板が腐食するということは棟板金を支える土台自体が劣化するということなので、容易に棟板金が浮きやすくなり、さらに被害は周囲へと拡大していきます。
そうして、どんどん雨水が屋根内部へと入り込み、屋根を劣化させるだけでなく雨漏りも引き起こすのです。
屋根に使用されている板金には、棟板金、谷板金、水切り板金など様々な種類がありますが、いずれも雨水が屋根内部へ侵入するのを防ぐ役割があります。
屋根板金が浮く、劣化する、破損するといった状態は、雨漏りが起こるリスクを大きく高めてしまうので、浮きや劣化に気づいたら早めに対処するようにしましょう。
棟板金以外の屋根の劣化サインについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
屋根の劣化サインとなる4つの症状とは?屋根材ごとのメンテナンス方法を解説
棟板金の浮きを見つけた際の修理方法とその費用について
前項で解説したように、もし棟板金に浮きや破損などを見つけたら、すぐに対処したいところです。
しかし、対処しようにも気になるのが修理方法とその費用ではないでしょうか?
ここでは、棟板金の様々な修理方法と、その工事にかかる費用を解説します。
釘の交換工事
棟板金を固定している釘が緩んでいる、または外れている場合は、新しい釘に打ち替えるだけで対処が可能です。
ただし、これまで使用していた釘穴にそのまま打ち込んでしまうと、再度釘が抜けてしまう恐れがあります。
そのため、釘の位置を変更する、既存の釘より大きなサイズの釘を使用するなどの対応が必要となります。
この作業にかかる費用は、おおよそ3万~5万円程度です。
棟板金の交換
棟板金に明らかな損傷や劣化が見られる場合、棟板金自体を取り替える工事を行います。
工事にかかる費用は修繕工事に必要となる棟板金の長さによって変動しますが、おおよそ10万~20万円が相場となっています。
「棟板金の浮きが起こる主な3つの原因とは?」でご紹介した「強風による棟板金の変形」が原因の場合はこちらの工事を行うことになるでしょう。
貫板の交換
上述で解説した通り、棟には下地となる貫板(ぬきいた)が入っていますが、貫板もまた棟板金と同時に交換するのが最善の修理方法となります。
どれだけ棟板金や釘が新品になったとしても、下地に劣化や腐食が起こっていると再度浮きや釘浮きが発生しやすくなってしまいます。
せっかく棟板金の修理をするのであれば、一緒に貫板も綺麗にしてしまった方がリフォーム効果も向上します。
貫板の交換も同時に行う棟板金の交換費用は、およそ15万~30万円程度が一般的です。
棟瓦の再配置
瓦屋根の家では、棟板金の代わりに棟瓦が使用されています。
棟瓦の再配置や交換作業は専門の瓦職人が行い、棟板金の修理とは異なる技術が必要となります。
費用はおよそ20万~35万円が相場となっています。
棟板金の不具合を指摘してくる悪徳屋根修理業者について
突然自宅を訪れ、屋根の棟板金の不具合を指摘してリフォームを提案してくる訪問業者が存在することは多くの方がご存知でしょう。
もちろんそれらの全てが悪徳業者・詐欺業者という訳ではなく、中には真っ当に活動している屋根修理業者も存在します。
しかし中には、
・あり得ない程高額な修理見積もりを提出してくる
・不安を煽って契約を急かす
・屋根や棟板金を意図的に破損させる
・解約の申し出を無視し、強引に契約を進める
といった行為を行う悪質な業者が含まれているのも事実です。
もし、突然自宅にやってきて屋根の不具合を誇張して不安を煽るような業者に出会ってしまった場合、すぐにその場で契約を交わすようなことは絶対にしないでください。
屋根に何かしら不具合があったとしても、現時点で雨漏りが起こっていなければ、急に状況が悪化して今日明日に雨漏りが始まるといったことはあり得ません。
じっくりご自身で調べて、信頼できる屋根修理業者を探す時間は十分あります。
断っているにも関わらず業者による執拗な勧誘が続く場合は、迷わず警察に相談しましょう。
悪徳屋根修理業者は主に高齢者のみが住んでいる世帯を狙う傾向にあります。
もしお一人で住まわれている高齢の親族がいる場合、情報を共有していざという時には本人に代わって対応してあげてください。
すでに契約を結んでしまった場合でも、自治体の消費者センターに相談すれば無料でアドバイスを受けることが可能です。
クーリングオフ期間を過ぎても契約を無効にできる場合もあるので、「悪徳業者かも…」と不審に感じた場合はすぐに問い合わせてみましょう。
悪徳業者が皆様を騙すためによく使う手口については、こちらの記事で詳しく解説しています。
屋根修理・雨漏り修理は悪徳業者が多い?よく使われる詐欺の手口4選
棟板金の修理に火災保険は適用される?
棟板金の損傷・浮きは、火災保険の補償対象となる可能性があります。
特に、棟板金は風の影響を強く受ける部分であるため、台風や突風による損傷が火災保険の補償対象となることがあります。
もし活用できれば、お得に棟板金を修理することができるので、台風など自然災害の後に被害が見つかった場合には、火災保険が使えないか確認するようにしましょう。
屋根修理・雨漏り修理で火災保険を活用するための条件や注意点については、こちらの記事で詳しく解説していますのでぜひご一読ください。